炎症後色素沈着の最近の記事

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 美容医療が一般的になって15年くらい。トラネキサム酸の内服もハイドロキノンの外用も、こんなに大量に使われた時期は過去ありません。長期連用はなるべく避けた方が良いと思っています。

 ハイドロキノンのトラブルとして分かっている事は、

1、メラニンを作るメラノサイトが失調を起こして、皮膚の色が白く抜けてしまう事がある。塗っている場所とその周辺がぼおっと白くなっている人を拝見します

 

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2、少量でもかぶれてしまう人がいます。アレルギー性の接触性皮膚炎と言います。くびにオープンパッチテストと言って少量塗って貰っただけで、こんなに真っ赤に腫れてしまいました。

3、 刺激によるかぶれがおこる。赤くなる、ヒリヒリするなどの刺激による症状が現れます。濃度が高い製品ではかぶれる方をよく拝見します。

 ルミキシルというのは、スタンフォード大学で開発されたブライトニング用のクリームです。肝斑やしみ(色素沈着)の改善に、薬品ではなくて化粧品として販売されています。 

 メラニン生成抑制率が実験系でハイドロキノンの6倍くらいあるそうです。実際の漂白作用や明るくする作用についての論文は見つけられませんでした。あれば報告しますね

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 美夏DR.も使ってみました。ハイドロキノン特有の臭いがない。のびが良く保湿性が高い。赤みや刺激の症状が出ない。

大体ルミキシルの単独使用で、8-10週で皮膚色が明るく白くなったと、感じられるんですって。

 ハイドロキノンは安価で、議論はあるにしてもしみ治療には欠かせない薬です。一時期発がん性があると言ううわさがありました。 結局否定されたらしい。。。

 

 

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 価格対結果ではどちらがよいかは分かりません。

 ハイドロキノンにかぶれてしまう人には良い選択肢ですね。レチノイドとの併用に、光治療やレーザー治療の補助療法に期待が持てます

 また、ハイドロキノンが使える方でも、単独で長期間使用を続ける事にはリスクがあります。色々な薬を交互に使う方がリスクの分散にもなって、良いですよね。

気になるルミキシルのお値段は、30gで12,600円です。ジェイメックのHQは30gで8400円です。

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  炎症後色素沈着は、光治療(フォトフェイシャルファースト)やレーザー照射による治療に反応しません。

 上の写真は、他の施設でフラクショナルレーザー(多分スタンプタイプの1440か1320nmの機械だったのではーー?)を照射後の患者さんです。照射後1ヶ月です。炎症後色素沈着が目立ちます。

 炎症後色素沈着は軽ければ、1年間紫外線に当たらない、皮膚を触らないようにしていると、色は取れてきます。

 積極的な治療をする場合には、

1、イオン導入をする (早期がお勧め)

2、赤い色が茶色くなってくるのを防ぐために、ハイドロキノンを使う 

3、トレチノイン療法またはObagi nu-derm systemによる トレチノイン+ハイドロキノンの治療を行う

 

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 Obagi nu-derm systemを始めて4週後。傷のへこみと赤さは残っていますが、色素沈着はすっかりなくなりました。

 炎症後色素沈着の治療では、1年経過を見て色が残るならば、治療するという選択肢もあります。でも早期にNu-dermやトレチノイン療法をして、大変だけれど短期間に色を取るという選択肢も良い選択肢だと感じました。

 この方からは、もし同じようなケースでObagi nu-derm systemで救われる方があるならば、写真を公開していただいて結構ですよ、と承諾を得ました。

 とても辛かったのですね。心が痛みました。

 下の写真はサンスクリーンを塗ったまま撮影しているようで、少々光の加減が上と異なっていてごめんなさい。

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美容抗加齢医学会第2回に参加して面白かったこと No.2、昨日の続きです。

レーザー治療後の炎症後色素沈着について
1、イオン導入をする
2、ハイドロキノンを使う
3、トレチノイン療法をする、オバジのnu-derm(クリームプログラム)をする
などの方法があります。

しみのレーザー治療の前後に1-3などの治療をするかどうかの議論がありました。

その中で、葛西形成外科の酒井めぐみ先生は、前後とも処置せず、皮膚を刺激しないように指導するとお答えでした。
根拠は、ハイドロキノンや日焼け止め(サンスクリーン)などでも接触性皮膚炎がおこることがある。色々なものを塗れば塗るほど、摩擦の力がかかって色素沈着が増悪する。色々前または後療法しなくったって抜けるものは抜けるの3点です。

おっしゃる通りだと思います。少なくともハイドロキノンやサンスクリーンでかぶれてしまったり、こすっていたりすれば、結果は思わしくありません。
 ほかの先生方は、大体何らかの治療を必要に応じてなさっておられるようでした。


 二つめに面白かったのは(今回の会に限らずですが)
トレチノインをとても嫌いな先生がおいでな事です。トレチノインは新陳代謝を促すビタミン剤なので、炎症を引き起こします。その炎症が、肝斑などを場合によって増悪させますし、皮膚は痒くなれば掻いてしまって傷を作る。その上、トレチノインは感受性に個人差がある。
 そんなこんなで、治療成績が安定しない部分があるので、特にお化粧をなさらない男性の先生方のなかで嫌う方が多いように思います。
 結構使い勝手の良い薬で、美夏Dr.はお気に入りですけれどーーー。
 そうそう臨床治験中と聞いていましたけれど、いつ認可されるのかしらん??

 3つめにトランネキサムの内服の仕方
 トランシーノという名前で「肝斑が消える」と宣伝されていると聞きました。(美夏Dr.はTVを見ている時間がないので、本当のことは知りません。)消えるってのは少々大げさな話だとおもいます。
 リスクについてはっきりと分かっているとは言えないと感じていますが、1日500mg推奨の方から1500mg推奨の医師までおいでのようでした。有効最小量がなんなのか、どのくらいの期間が適当なのか、次回への宿題となりました。またなぜトランネキサムが肝斑に効果があるのか、その機序についてはよくわからないという、こちらは目新しい結果とはなりませんでした。
 

 レーザー治療は、盛り上がりのない日光色素斑(老人性色素斑)やそばかす(雀卵斑)などには、1回の治療ですみ、スタンダード治療です。

 治療の欠点

 1、テープを10日間貼っておく必要がある。(施設によってはガーゼで覆うところもあります)

 2、炎症後色素沈着(レーザー焼け)といって、痂皮がとれた後一度黒ずむ期間がある

 の2点だと思います。

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前回お見せした従妹の左の頬です。照射前の写真が見当たらず、お見せできないのが申し訳ありません。照射して1月半後に撮影した炎症後色素沈着の様子です。

 

結構黒ずんでいます。多分もともとのしみよりかなり黒くなっていると思います。その半年後です。

 

 

 

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 だいぶ薄くなりました。

 

 

 

 

 

 

  炎症後色素沈着はどういう場合に起このるか

1、皮膚の性質ーーーヤケドや切り傷で色の残りやすい人と残りにくい人がいるように、炎症後色素沈着が起こりやすい皮膚の性質をお持ちの方がいます。

2、術後経過ーーー痂皮で下の新しい皮膚が覆われている期間が長いほど、炎症後色素沈着は起きにくい。テープが途中で剥がれてしまった、掻いてしまったなど、治る過程に問題があるとおきやすい。

3、照射のパワーが高かったーーーパワーがぎりぎりだと、残ってしまう場合があります。それで強めの照射をすると取れない確率は下がりますが、炎症後色素沈着の確率は高くなります。

 炎症後色素沈着を防ぐ方法はあるのか

1、照射したあとのケアは充分に丁寧に施行する(特に痂皮は長く大事にして、なるべく剥がさない

2、ハイドロキノンを照射1月前から1日2回塗っておく

3、照射後イオン導入をしてビタミンCを補給する

4、トレチノイン療法をする

 レーザー照射をした後半分の患者さんは、炎症後色素沈着が起こります。この私の従妹のように黒くなる方はそんなに多くはありません。印象では10%くらいかしら?

でももっと薄かったり、早く治ったりする炎症後色素沈着を含めると、統計上50%の人には起こるものです。

 半年から1年すると、炎症後色素沈着は治ってしみのない肌になります。炎症後色素沈着のある間は、紫外線にあたらないこと、皮膚をこすらないことが必要です。

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 だいぶ陽の光が強くなって、サンスクリーンも丁寧に使う時期になってきましたね。美夏クリニック  の1日もそろそろ終わりかなと言う頃に日が暮れてきます。

 レーザー照射によるしみ治療も、そろそろ終盤戦です。

 しみ治療が炎症後色素沈着との戦いであるというお話をしたことがあります。たまたま従妹にQレーザー照射して、炎症後色素沈着を起こしていましたので、画像をお見せしますね。勿論本人の了解済みです。
 勿論このような状態でも、紫外線に当たらない様にしてこすらないようにしていれば、1年経てばしみは取れている予定です。

 4月以降になりますと、しみ治療はフォトセラピーや場合によってトレチノイン療法は致しますが、レーザー治療は紫外線にあたる機会があまりない患者さまに限ってさせていただいています。炎症後色素沈着が来たときに、紫外線にあたりますと、どうしても色が取れにくくなります。

 

 ここしばらく忙しくて、あまり書くことが出来ず済みませんでした。また少しずつ書きますのでよろしくお願い申し上げます。

posted at 2007/02/21 17:49 | kojitomika |
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 季節柄なのか、このブログやHP、パンフレットのためなのか、しみ治療の患者さまの数が増えてきています。

 しみ治療のポイントは炎症後色素沈着の時期をいかにして乗り越えるかです

 レーザー治療では、照射した後痂皮(かさぶた)がとれてそのまましみのない肌になる場合もあります。しかし、統計学的にはおよそ半分の方ではその後一端黒ずむ時期があります。炎症後色素沈着とかレーザー焼けと言います。炎症後色素沈着が来ても、通常半年から1年経てば、しみのない肌になるはずです。

 この炎症後色素沈着の時期に、そのレーザー照射部位に紫外線があたってしまったり、気にしてこすってしまったりすると、この黒ずみが取れないことがあります。

  この炎症後色素沈着の時期は、先ほど申しましたように、紫外線を避けること、こすらないこと(摩擦の力を加えないこと)が重要です。
 炎症後色素沈着もかなり真っ黒になる場合もあれば、わずかに周囲と色の差が出る場合などさまざまです。その炎症後色素沈着の期間を短くし、黒ずみの程度軽くするために、ハイドロキノンという漂白剤を塗布する、ビタミンのイオン導入をする、トレチノイン療法をするなどの治療をする場合があります。どちらかと言うとご希望でなさっているクリニックが多いと思います。

 これからの季節は、同じようなスキンケアをしていても、紫外線量が少ない、日照時間が短い、日焼けどめが汗などで流れにくい分だけ、炎症後色素沈着の期間に悪化する要因を減らすことが出来ます。
 
 しみの治療は、トレチノインとハイドロキノンを塗る治療をなさるにしても、レーザーの照射をするにしても、半年から1年がかりです。しみの治療をなさるには良い時期が来たと言えると思います。

 なすびNs. 「そういえば、レーザー治療って夏の間は全然やっていなかったよね。」

 美夏Dr. 「だって同じことをしても、春から夏の間に照射すると、どうしても炎症後色素沈着の時期が長いし、黒くなる確率が高いもの。わざわざ治療のリスクを高めることは、医者はやらないよね。」

 なすびNs. 「炎症後色素沈着を避けるための方法ってないのかな?」

 美夏Dr. 「レーザーの照射のまえに、ハイドロキノンを1日2回1月前後塗っておくと良いとされているよ。そうしても、起こる人は起こるけれど。」

 なすびNs. 「ビタミンCのイオン導入は?」

 美夏Dr. 「良いと思うけれど。でも結局通院しなければならないし、費用がそれなりにかかるからね。原則イオン導入をしなくても、紫外線にあてずにそっとこすらないようにしていれば取れるはずなので、無理にはお勧めしていない。他の理由もあるなら積極的にさせていただくけれど。結局は患者さんでご希望があればってところかしらね。」

posted at 2006/09/14 17:41 | kojitomika |

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