トレチノインの最近の記事

dryness_neck1.jpgdryness_neck2.jpg 随分寒いですね。

 インフルエンザノロなどウイルス性感染症が流行ります。病気にかかった人は水を含んだウイルスの塊を放出します。その塊の水分が冬には乾燥して、とても軽い小さい飛沫核となってそのまま空中に浮いています。重みで下に落ちることがなく漂っているから、冬にはウイルス性感染症が流行るのね。。。

 紫外線の少ない時期にと、ナースと私はせっせとトレチノインを塗っていました。新陳代謝を上げる薬なので、皮膚は赤くなり乾燥します。

左の写真のナースは、どうやら眠りながら首を引っ掻いていたようです。右は私。顎下には少しかさぶたもついて全体に色もあります。

トレチノインは顔にだけ塗っている。でも何かの時に手で触って首に広がり、湿疹になるんですね。乾燥した時に、エンビロンのモイスチャージェルはとても具合が良いの。トレチノインやディフェリンの乾燥には、プロペト(精製度の高いワセリン)かモイジェルがお薦めです。

retin-a.jpg

 ビタミンAの製材でトレチノインという薬があります。

 レチノイン酸とかトレチノイン、レチンA、レノーバなどという名前で流通しています。

 新陳代謝を促す薬です。基底層で細胞の分裂が促され、毛包脂腺系でもその基底膜で代謝があがります。するとニキビではコメドが少しずつ浮いてきて排出され、コメドを作らないように作用します。大体8週間くらい塗って、コメドをなくそうというものです。浮いてくるので、使い始めて4週前後でコメドが目立つ時期がある時があります。

 一番右がアダパレン(ディファラン)という薬です。トレチノインにおけるかさつきや赤みという副反応を抑えたもの。

これらの薬を使うときのポイントは、かなり感受性が患者さんによって異なるので、患者さんの反応と治療目的(ニキビとしみでは違うから)で量や濃度を自在に変えてゆくことにあると思います。この辺の細かい使い分けが職人芸的で医師としては結構楽しい。

 最近では炎症後色素沈着の早い時期に使っています。結構使い勝手がよくて、美夏Dr.のお気に入りです。

 どんな時にどんな使い方をするのか、主治医とよく相談して使ってくださいね。

 ニキビは、慢性の再発性の疾患です。悪化因子がたくさんありますので、それをきちんと診断し、その悪化因子のそれぞれに治療をしないと、なかなかきれいになりません。勿論日々のスキンケアが一番重要です。
 またかなり状況が良くなっても、体調が悪かったり、生理が不順になったり、色々な要素で再度悪化します。よく美容系の学会や研究会では、「半年の壁」という言葉を聞きます。治療して、一端良くなっても、にきびの出来やすい状況が改善されていなければ、半年くらいで再発してくる場合がある。

 このニキビの出来やすい状況とは
1、ホルモン状態(いわゆるホルモンバランスが悪い。言い換えると産婦人科的にはあまり問題がないけれどーーー妊娠出産には支障がないけれどーーー脂腺を刺激するアンドロゲンがやや多い状態。勿論産婦人科的にも問題があるようであれば、その状態が改善しないとなかなか大変です。)
2、ストレスや過労で、免疫状態が悪いーー皮膚が治るまでの力がない
3、化粧でニキビを作りやすくしている
4、もともとにきびの出来やすい家系で年齢的にも、まだにきびのさかりである
 などがあります。

 ところでニキビ治療のスタンダードに抗生物質の投与というのがあります。長期にわたる抗生物質の投与は、過敏症などの副作用のほかに、薬剤耐性菌を作り出す、全身の常在菌のバランスを崩す(カンジダ症や下痢など)などのリスクがあります。抗生物質の投与によるメリットが、リスクを上回れば、それはそれでよいと思います。

 ニキビ治療における抗生物質の投与は、細菌による感染や炎症を抑える目的でなされますが、薬の代わりにフォトセラピーやレーザーを照射するというやり方があります。
 赤い色に反応すると熱を発生し、特に赤みのつよい炎症性ざそうに効果があります。機械(つまり厳密な波長)はあまり選ばないように思っています。400nm台の波長が、アクネ桿菌の産生するポルフィリンに反応し、より選択的であるという論があります。でもブラックライトを照射してみると、ポルフィリンの紫色が強くでる患者さんは必ずしも多くない。どうかな、印象では30%位に思います。巷で言われているほどに、アクネ桿菌が主体となっているにきびは多くはないのでしょう
 もともとアクネ桿菌は、嫌気性菌といって空気が嫌いなので、確認が難しいんですよね。アクネ桿菌が、マラセチアと同じように脂が好きな常在菌であることも、ポイントです。

 美夏クリニック http://www.mika-clinic.com ではメディラックスによるフォトセラピーを時々させていただいています。フォトは肌質改善や赤みをとるのにも良いので、良い治療法だと思っていますけれど、自費診療になってしまうのが欠点ですね。


 にきびの患者さんの数は元々多い。
 保険診療の範囲内で満足のゆく結果が出れば、それで良いでしょうし、薬が心配なら光治療なども良い。かなり治療方法が多岐にわたるので、返って患者さんの選択肢が多くて大変かもしれません。良く相談して負担のない治療から始めるのが良いと思います。

 若返りの治療器のサーマクールが、ニキビ治療にも良い成績です。高価な治療なので、あまり日本では施行されておらず、ご存知でない方もおいでですけれど。

 美夏クリニックでは、普通の皮膚科的治療だけの方とか、漢方のみとか、トレチノインやフォトセラピーの方とか色々な方がいます。どの治療が優れているというよりも、患者さんの状態や希望で選んでいただいています。

 トレチノインは、決して魔法の薬ではありませんけれど、そして現在保険の適応はありませんけれど、よい薬だと思っています。コメドを追い出す薬です。治験が行われているそうなので、近々認可されるのではないでしょうか。私ははやく厚生労働省が認可し、もっと多くのニキビの患者さんが使えるようになればよいなと思っています。

posted at 2007/01/30 18:32 | kojitomika |
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アンチエイジングの実際 No.3 トレチノイン療法

 トレチノインという薬はビタミンA酸、レチノイン酸とも呼ばれるビタミンAの誘導体です。元々は、アクネ(ニキビ)の薬です。
http://www.nlm.nih.gov/medlineplus/druginfo/medmaster/a682437.html

 ニキビの治療については、ウェブサイトにも書きました。
http://www.mika-clinic.com/kamoku/hihu05.htmlトレチノインを使う目的は、面疱(コメド=毛穴に詰まる皮脂と角化物の塊)を追い出すことにあります。ニキビ治療では、塗っている場所が赤くなるかならないかくらいの、マイルドな使用量で充分です。

 トレチノインは、患者さんによって反応の仕方に差があります。感受性の違いといってもよいかもしれません。少量でもすぐに赤くなるひと、かなりの量をぬっても余り効かないひとーーー。そのため、一律にこういう状態ならば、この量を塗るようにとは決められません。言いかえれば、医師の腕の見せ所。
ご自分で個人輸入などで入手され、適当にお使いになって、トラブルを起こしてしまって困っておられる方もおいでです。

 また、約8週間くらいで薬が効かなくなってきます。耐性ができたと言います。東大の吉村先生はレセプターのスイッチがオフになるんだよとおっしゃっています。このあたりのメカニズムが分かりにくいのですが、確かに臨床的には8週を過ぎると効きが悪い。

 USAで皮膚科医の奥様方がニキビ治療でトレチノインを塗っていたら、小皺が減ってきたということから、トレチノインの若返りの治療が始まったそうです。

 トレチノインは、細胞のターンオーバーを促す薬です。
 お腹にいる赤ちゃんにトレチノインが届いてしまうと(塗り薬では一応届かないとされていますが、飲み薬は大変危険です)、奇形を起こしやすくなる。厚生労働省は未認可ですので、保険の適応はありません。なので、妊娠の可能性がある女性には使いにくい。
 でもこの細胞のターンオーバーを促し、毛穴を締め、表皮内のメラニンを追い出すことで漂白するという作用は、アンチエイジングのコンセプトそのものです。

 私は、ニキビと毛穴、小皺目的にはマイルドに、漂白目的には強力にトレチノインを使っています。

 トレチノインもたくさん書くことがありますので、続きをお楽しみに


なすびNs. 「センセはトレチノイン好きだよね?」
美夏Dr.「だって効果確実、安い。これが嫌いな人はいないでしょう?」

なすびNs.「質問の方向を変えてみましょう。トレチノインで乾燥するっていうでしょ?これはどうなの?」
美夏Dr. 「トレチノインは皮膚の細胞が細胞分裂する基底層を刺激し、そのターンオーバーを促進するとされている。新しい細胞がどんどんできるの。そうすれば、当然垢となって落ちる細胞も増えるし、毛穴に詰まっているものも押し出される。
 垢となって落ちるということは、言いかえれば剥けるわけだから、結果としてのピーリング剤>。薬が作用する場所が、基底層ってことよね。

 当然のことながら、新陳代謝が活発になって、垢となって脱落する細胞が増えればそれに伴って水分も蒸発する。乾燥しやすくなる。
 だから、アトピー性皮膚炎の人など乾燥しやすい人には、トレチノインが使いにくい。

 ケミカルピーリングでは、皮膚表面に塗って直接角層を剥いて、結果として細胞分裂を促す。つまり反応としては逆方向なんだけれど、結局やっていることは同じ。ただ、ケミカルピーリングでは、毛穴の奥までは薬は届かないから、コメドを押し出すには弱いわけ。ケミカルピーリングも乾きやすくなるでしょ?」


なすびNs. 「感受性が違うって?」
美夏Dr.  「反応がね、人によってずいぶん違う。トレチノインの量が一番多いプログラムが、オバジのnu-dermだと思うんだけれど、これでさえあまり赤くならない人っているの。一見肌理が細かくて乾燥に傾きがちで敏感そうな肌でも、あまり赤くならない人もいれば、反対に丈夫そうだなっておもっても、真っ赤になる人もいる。一応使っていただいて、判断するようにしているけれど。」

なすびNs. 「赤くなったら辛いよね。ワタクシはオバジのnu-dermは、いくらお勧めされてもやる気がしない。美貌に自信がもてずに外を歩く期間が長いのは、そりゃあいくら結果がよくても、ワタクシ向けではありません。」
美夏Dr. 「ただね、個人の感受性の違いも大きいけれど、実は塗り方塗る量が患者さんによって、かなり個人差があるように感じている。このくらいで使ってねとは、説明しているけれど。」

なすびNs. 「赤くなるほど効くとも言っているじゃあない?」
美夏Dr. 「赤くなったら、ハイドロキノンでメラノサイトの活動を抑えておいたほうがいい。特に肝斑のあるかたは、トレチノイン塗って赤くなって、それで紫外線にあたったら、一度に黒くなる。あっという間に黒くなるからね。ただ、ニキビ目的で使うなら、赤くなる手前で充分に効いてくるから、その量を調整するのよ。

 あとね、どうしてもトレチノインはターンオーバーを促すから、場合によって炎症反応が強くなる。乾燥した上に炎症が起こると場合によって痒くなる。痒みで引っかいちゃうと今度は傷になる。痒くて掻いてしまうようになったら、トレチノインを塗るのを中止しなくてはならないの。これは、ニキビ治療でもしみ治療でもとても重要なこと。」 

posted at 2006/08/16 17:05 | kojitomika |
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