005)形成外科の最近の記事

cerapaste.jpg お久しぶりです。

 今日は頭蓋顎顔面外科学会というのに参加してきました。第27回なので、もう四半世紀続いている学会ですね。

 ランチョンセミナーで紹介があった硬化型骨補填剤セラペーストをご紹介しますね。骨折や腫瘍などで骨が足りない部分があったときに使うハイドロキシアパタイトで、施術するときにペースト状のものを形作って固めて載せるようにして(オンレイグラフト)使うか、または大きなシリンジで注入して表から指を使ってその場所で形作る。粘土をこねるみたいにーー。医学分類上では、人工骨、汎用型、非吸収性になっている。

 レディエッセはハイドロキシアパタイトですが、長時間持続性とされていますが吸収性でFillerです。形成外科医にとっては、Fillerを注射するのも、少し穴をあけてペースト状のハイドロキシアパタイトを注入するのも、やや腫れ方は違うけれど、手技上あまり差がないように感じます。

  会場でもこうしたいずれ自分自身の骨と同化するような物を、異物と呼ぶのかどうかって議論になっていました。だんだん使用する材料も変化してきます。このタイプの補填剤はけっして新しいコンセプトではありませんし、他にもいくつか種類があります。

 ただ自分自身にレディエッセを注入してみて、改めてこうした演題を拝聴するとまだまだ色々な工夫ができるなって思います。 小孔を開けてポケットを作成し骨に接して注入するようにすれば、美容外科で使うのにもとても良い材料ですね。

 最近では再建の手術なんてすることがなくなってしまいました。こういう学会に出席すると、古巣に戻ったような、わくわくするような、そして少々後ろめたいような気持ちになります。

傷は、その人の皮膚の性質(色がつきやすいとか、盛り上がりやすいとか)と、もともとの傷の深さケアの仕方でどんな傷跡になるか決まります。
 どんな傷であっても、炎症後色素沈着といって、最初赤い傷となり、そのうちに茶色くなり、だんだん皮膚の色に近くなって目立たなくなるという過程をたどります。本日のお話は傷あとの色の話ではなくて、形状(かたち)の話です。

 傷あとは、3種類に分けられます。
1、成熟瘢痕 平らな傷あと。触ったときにあまり凹凸がなく、痒みや痛みなどがない。場合によっては、色がついたり(炎症後色素沈着)、色が抜けたり(炎症後色素脱失)している。
2、肥厚性瘢痕 やや盛り上がっているが、赤みは乏しく、たいていの場合かゆみや痛みはない。大体2年くらいで少しずつ平らになってくる。
3、ケロイド 盛り上がって、赤く触れ、表面はつるつるしている。痒みや痛みがあるときがある。

 ケロイドは、なかなか綺麗に治りません。多分きちんと治せれば、ノーベル賞もの。 現在の所、
1抗アレルギー薬(リザベン)内服、
2ステロイドの密閉療法(ステロイドテープ)
3、ステロイド局注
4シリコンジェルシート

くらいの保存的治療が一般的になされているのが現状です。手術しても再発が多いので、積極的に手術している医師は少数派だと思います。私もめったに手術致しません。次にお話する3度熱傷のような場合ですと、場合によっては手術適応といって、手術によって改善が望めるときがあります。

 ケロイドの治療目標は低くて、赤みや高さが改善してある程度目立たなくなるとよいくらい。残念です。

 ケロイドは、好発部位といってなりやすい場所があります。ひとつは胸骨の上といいますが、胸の真ん中辺り。心臓や肺の手術で縦にした傷やニキビなどでも出てきます。また、恥骨の上ーー帝王切開など。身体の真ん中の縦の傷はなかなか綺麗になりません。また、前にお話した耳たぶ、肩やひざなど。

 やけどの場合を例にお話いたします。やけどは浅い方から、Ⅰ、Ⅱs、Ⅱd、Ⅲ度に分類されます。1度は日焼けのようなやけど。2度はs(浅い)とd(深い)の両方ともコラーゲンが多い真皮の深さまでのやけどです。大体2週間で皮膚が覆われるような傷をⅡsと言います。2度であれば、皮膚付属器(皮膚の中で皮膚以外の汗腺脂腺や毛根などを指します)の基底層(皮膚の細胞が分裂する層)が残っていますので、焼けてしまった部分からも、皮膚が新生されます。3度の熱傷ですと、皮膚の新生はやけていない部分の端からの再生しか期待出来ません。
 この中で3度熱傷の場合は、身体のどこの場所でも、ケロイドになる可能性があります。2度の場合は、かなりその人の皮膚の性質で傷あとの状態は変わります。Ⅱsであれば、ケロイド体質とも呼ばれる傷が目立つ皮膚の性質でなければ、皮膚は形の変化なく治ります。Ⅱdの場合はかなり皮膚の性質や場所、傷の大きさにより、場合によってはケロイドになります。

 ケロイドは、治しにくい傷あとです。ケロイドになっていない、傷あとがやや盛り上がっている状態で、形成外科にご相談なさった方がよいと思います。形成外科にかかっていて、例えば手術などの治療を受けたあとでも、もし傷の幅が広がって、その部分が皮膚よりも盛り上がるようになれば、再度受診なさることをお勧めします。

 そういえば、センセは痒くて掻いた痕は茶色い色がついているけれど、あちこちある傷あとは綺麗で細いよね。センセの皮膚の性質は、痒いんだけれど、傷の治りは良いってことかしら?
 そうなの、私の傷あとはケロイドのように、硬くなったり、盛り上がったりしにくいの。だから患者さんに悪い見本としては見せられないのね。 え!?!悪い見本ばっかり見せちゃうの?変ねえ、良いところを見せたら良いのに。

 この記事は、jugemで一度公開したものです。

posted at 2006/07/01 18:20 | kojitomika |
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